1. ネーミングセンスの磨き方

ネーミングにはかなりのセンスが必要です。というのも、ネーミングは、一瞬にしてターゲットの心をつかまなくてはならず、いじっていじっていじり倒したネーミングより、センスでするりと出てきたネーミングのほうがターゲットの心にするりと入り込みやすいからです。

では、そのセンス、どのように磨いたらいいのでしょうか。

まず引き算がうまくなることではないかと私は思います。
ネーミングを作る時、そこにはたくさんの思いが間違いなく溢れています。その商品を開発した人の思い、売る人の思い、工場で作る人の思い、社長の思いなど・・・。すべてを吸収したら、パンクしてしまいます。恐山のイタコのようにターゲットの気持ちに完全になりきり、そのターゲットの目で頭で心でネーミングをしようとするものを見続ける。その時、どこに一番惹かれるか、何を言われたら興味を持つか。あらゆる事情を引いて引いて引きまくってください。ターゲットは、ネーミングをじっくり見てはくれません。一瞬見た時に、たった一つのことがするどい刃物のように頭や心を貫ければいいのです。

ポイント:ターゲットになりきり、引き算をする!

2. ネーミングライツとは

ネーミングライツとは「公共施設の名前を付与する命名権と、付帯する諸権利」のこと。つまり、スポーツ施設などに企業名やブランド名をつけることで、公共施設の命名権を企業が買うビジネスです。日本で最初にネーミングライツが行われたのは2003年の「東京スタジアム」が「味の素スタジアム」に変更されたもので、それ以降さまざまな施設に企業名やブランド名がつけられています。これは企業にとって非常に大きな宣伝効果になり、特にスタジアムやドームの場合、テレビやインターネットなどで企業の名前が入った施設名が連呼されるため、さらに宣伝効果が高いことになります。また、施設側にも大きなメリットがあり、権利を与える対価として入ってくる権利費で膨大な維持費の一部として使えるからです。

しかし、何でもかんでもつけていいとは思っています。つけてしまうことでマイナスイメージになってしまうこともあります。そのいい例が、由比ヶ浜のネーミングライツです。私も大好きなビーチで、いろんな思い出のあるビーチです。そこに鎌倉市がネーミングライツを売り出すことを決めたのです。私はこれはマイナスになると思いました。市にも、そして付けた企業側にも。例えばカップヌードルビーチとかになったらどうなっていたでしょうか。若者には受け入れられるかもしれませんが、大人たちは顔をしかめカップヌードルを買わなくなるのではないでしょうか。結果的には素晴らしい結果になりました。あの鳩サブレで有名な鎌倉発祥の豊島屋さんがこのネーミングライツを1億で買取り、さらにネーミングライツを行使せず、そのままの名前にしてくれたのです。それ以来、私は豊島屋が大好きになり、手土産には鳩サブレーを買うようにしています。そういう意味では、広告効果はかなりあったのではないかと思います。

3. ネーミングを依頼する場合に重要なこと

オリエンテーションシートには書きたいことはたくさんあると思います。しかしできるだけポイントを絞ることが大切です。

では、どういったことに気をつけてポイントをしぼったら良いでしょうか。
5W1Hを意識して書いてみてください。

WHO:どんな人がコアターゲットになるか。

年代や性別で切ることはもちろん、生活レベル、趣味嗜好などで絞っていってもいいでしょう。

WHEN:どんな時にこのネーミングに触れるのか

仕事中か、勉強中か。眠たい時か。ご飯を食べている時かなどなど。

WHERE:どんな場所で

テレビなのか。歩いている時なのか。お店の中か。電車の中か、インターネット上なのかなどなど。

WHAT:何をアピールしたいか。

未来性、先進性、信頼性、品質、価格、味、使い勝手、モードなど。

WHY:なぜ心に残ったか

食通だから?メカ好きだから?流行に敏感だから?お金に困っているから?

HOW:どのように使用するものなのか

座るもの、見るもの、食べるもの、時間を過ごすもの・・・

この5W1Hを利用すると、逆にシンプルにしか書けません。そこを工夫して膨らますと、ネーミングの際に必要なたくさんのヒントが生まれてくるのです。

4. ネーミング造語を考える際のコツ

ネーミング作業は、いろいろな方法がありますが、造語はその中でも最もポピュラーな方法です。というのもひと昔前のように、ラテン語やイタリア語からそのまま単語をひっぱってきても、今は商標登録でひっかかる可能性が高く、造語にすることでクリアできる場合が多いからです。では造語のコツについてご説明したいと思います。私が以前制作したPHSのキャリア「アステル」を例にあげてみます。これは明日の電話ということで、明日+TELからきていますが、コツとしては造語の頭には(日本の場合)頭にすぐイメージがわく、広がる言葉を持ってくることです。アスと言われれば、明日、未来、次の世代とすぐに広がり、さらに感の鋭い人はUS(英語:私たちの)が思い浮かぶはずです。これがもし、センシンだったら、先進しか思いうかばずまたひろがりもありません。しかも、アスより長くしかも身近なことばでないため頭に入りにくい。こういったことから造語でアプローチする場合、接頭語にはわかりやすく身近で頭に入りやすい、しかも意味がいろんな角度に広がる言葉を選ぶことが大切です。

コツとしてもうひとつご説明いたします。それは、ゴロっとした感じ、です。つまり長すぎず、短すぎず、これもセンスなのですがネーミングとしての一かたまり感を大切にすることです。人間は本能的に覚えやすい言葉があると思います。その最低限の原則は非常に抽象的な言い方ですがごろっとした感じなのです。ですから、これは記憶しやすさや、呼びやすさに繋がります。ネーミングは1にも2にもこの覚えやすさ呼びやすさが大切だと思います。

5. ネーミングとキャッチコピーの関係

ネーミングは、時にはキャッチフレーズ的であっていいと思います。理由は二つあります。ひとつにはネーミングの商標登録が非常に難しくなってきている、ということです。逆に言えば、話し言葉であれば登録の必要もなく、誰からも訴えられることもありません。しかも、ちょっと風変わりなネーミングで、それはそれで覚えられやすくなります。

桃屋の「辛そうで辛くない 少し辛いラー油」がいい例です。これは商品の面白さ、流行りに乗れたことだけでなく、このネーミングが一躍買っていると思います。二つ目の理由はそこにあります。特に店頭などで、ラベルを見た際に、ネーミングだけで商品の内容や面白さが伝わると店頭では非常に強い商品になります。消費者は店頭の前で一商品を選ぶのにおそらく長くても15秒ぐらいしか時間を費やしません。その時、新商品の棚にキャッチフレーズ的なネーミングの商品があったら、一発でその面白さを伝えることができます。消費者は忙しい、ですから店頭でゆっくりキャッチフレーズや裏書きをみることはなかなかしません。ネーミングは、キャッチフレーズ的になることで、力強いセールスマンにもなりえるのです。

6. ネーミングが商標登録されているかを調査する方法

近年、ネーミングの重要性を各企業が認識し、さらに防衛策として特許庁で管理している商標に登録する作業をほとんどの企業が行なっています。いくつかの企業では、防衛策として出している商品のネーミングに近いネーミングまで登録している企業もあるくらいです。ということから、ネーミングがようやく出来上がってもかなりの確率で商標登録されている可能性があります。と、言うことから、事前にこれから作ろうとするネーミングのカテゴリーに、すでに商標登録されているものがないかを確認する必要があります。

商標登録の確認の仕方は簡単です。
特許庁のホームページを開くとJ-PlatPatというバナーがあります。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp

ここにアクセスすると、まず調べたいネーミングを検索窓に入れ検索すると、同じネーミングが登録されている場合一覧が出ます。しかし、そこに同じものがあってもあきらめてはいけません。ネーミング登録するにあたって、カテゴリーが40以上に分けられています。例えば、菓子であるとか、自動車であるとか、詳しくは上記のアドレスにアクセスしてみてください。以前よりかなり使いやすくなりましたし、ネーミングを作る前に、登録したい類にはどんなネーミングがあるのかがわかる資料にもなります。

7. ネーミングのヒントを集める方法

ネーミングがヒットする=商品が売れるとするならば、やはり競合の中で、目立ち、面白く、何よりもターゲットの心をつかめるかどうかです。ネーミングでの戦場は店頭です。恵まれた商品は、時にはたくさんのテレビコマーシャルを打ってもらえ、それに引きつられ店頭で選ばれることがありますが、それはごくまれな商品です。ほとんどの商品は、ほとんど広告など打たれることなく、たくさんの既存商品の中に並ばされ、ひっしにターゲットにアピールしていかなければならないのです。その際に、この商品はなんだか面白いから、美味しそうだから、私にあっていそうだから・・・。様々なアプローチがありますが、ターゲットに対し、ターゲットの欲しいツボにインパクトを持って刺さるかどうかしかありません。私の好きなネーミングでお豆腐の「波乗りジョニー」があります。とてもヒットしているお豆腐ですが、まず競合商品とはまったく違う名前で、あまりにもびっくりするので一度は試したくなる、そんなネーミングです。豆腐はそれほど高いものではなく、一度試して失敗しても食卓の話題になれば、それはそれでコスパがいいそんなカテゴリーなのです。すべてのカテゴリーに通用する手法ではありませんが、このカテゴリーならではの絶妙なネーミングだと思います。後はリピートされるかどうかは、やはり商品次第ですので、ネーミングだけで選ばれ続けることはまずありません。悪しからず。

8. ネーミングでヒットする法則とは

ネーミングがヒットする=商品が売れるとするならば、やはり競合の中で、目立ち、面白く、何よりもターゲットの心をつかめるかどうかです。ネーミングでの戦場は店頭です。恵まれた商品は、時にはたくさんのテレビコマーシャルを打ってもらえ、それに引きつられ店頭で選ばれることがありますが、それはごくまれな商品です。ほとんどの商品は、ほとんど広告など打たれることなく、たくさんの既存商品の中に並ばされ、ひっしにターゲットにアピールしていかなければならないのです。その際に、この商品はなんだか面白いから、美味しそうだから、私にあっていそうだから・・・。様々なアプローチがありますが、ターゲットに対し、ターゲットの欲しいツボにインパクトを持って刺さるかどうかしかありません。私の好きなネーミングでお豆腐の「波乗りジョニー」があります。とてもヒットしているお豆腐ですが、まず競合商品とはまったく違う名前で、あまりにもびっくりするので一度は試したくなる、そんなネーミングです。豆腐はそれほど高いものではなく、一度試して失敗しても食卓の話題になれば、それはそれでコスパがいいそんなカテゴリーなのです。すべてのカテゴリーに通用する手法ではありませんが、このカテゴリーならではの絶妙なネーミングだと思います。後はリピートされるかどうかは、やはり商品次第ですので、ネーミングだけで選ばれ続けることはまずありません。悪しからず。

9. ネーミングを行う際にしっておきたいルール

ネーミングを行う際に最低条件としてルールがあります。

●覚えやすいこと

●発音しやすいこと

この二つは基本中の基本ですがこれを守らない限りいいネーミングはできません。

まず「覚えやすい」というのはどういうことでしょうか。
できるだけ短いネーミングがやはり覚えやすいネーミングになるでしょう。また、ちょっとした語呂合わせも覚えやすいネーミングと言えます。人は、はじめての言葉や違和感のある言葉に対して耳を向けたがらない、耳を背けるそんな傾向があります。

二つ目の「発音しやすい」とはどんなネーミングでしょうか。
子供の名前をつけるようなイメージを持ってください。さらりとしていて、それでいてもかわいさや、明るさ、楽しさ、豊かさなど様々な思いが込められている。そういった名前はとても発音しやすいものです。これに関しては、how to はなく感覚に近いものになります。

10. ネーミングがブランディングに与える影響

ネーミングは、ブランディングの大きな要素となります。というのは、キャッチフレーズは、長くても1年ぐらいでマスメディアからは消えてしまいます(スローガン:ステートメントなどは長く使われることはありますが)。しかし、ネーミングはその商品が存在する限り消費者にアピールし続けます。それがプラスになることであれ、マイナスになることであれ。ですから、ネーミングを世に送り出す際は、制作中とは真逆に、あらゆることを鑑みて注意しながら作業を行なっていかなければなりません。単に面白いだけのネーミングは、単発で終わる商品のみ有効になります。商品開発には膨大な時間とお金がかかるものですから、一度出した商品はなかなか引き下げられないはずです。逆に、いいネーミングを連発する企業は、いい企業と言えると思います。人をキズづけたりしない、社会を、世の中を、平和に幸せにできるようなネーミングでなければ、それを生み出す企業のブランデイィングの一助にはなりません。繰り返しになりますが、ネーミング作業はスマートに、ネーミングをいよいよ世に送り出す際には慎重に。企業の懐の深さや洞察力の鋭さが試される部分とお考えください。

11. ネーミングのパピプペポとは

パピプペポのつくネーミングは売れるという伝説があります。これはあくまでもお菓子などにつける商品にはあるかもしれません。例えば、Cの着くクルマは売れるというのもあります。セリカ、カリーナ、カローラ、コロナ、クラウン、シティ、シビック・・・。それぞれのカテゴリーにはある一定の傾向があります。前出のお菓子で言えば、「ハッピーなニュアンス」であり、後出のクルマは「クルマ感」ではないかと考えています。つまり、その商品やその商品があることによって広がる生活を想像させてくれるネーミングであるか。そんな『語感』があるかだと思います。ですから、売れるネーミングの必勝パターンは逆にありません。様々なことを鑑み、時には検索で様々な画像を見ながら傾向をつかみ、時には語感を意識してみたり、昔私の大好きなコピーライター真木準さんがネーミングは探検に似ていると言っていた記憶があります。時にはジャングル、時には砂漠、時には海の中をひたすら歩づづけ、求めていたものと思ったものが全然違っていたり、逆にそれはないだろうと思っていたものが突然輝き出したり。そういった意味でも、たくさんの経験と知識、そして体力が必要な作業だと私も思います。

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